色々あってバイク界から足を遠のかせていた私ですがチョット心を擽られる物に出会いました。
オランダ、ヌエネンに居を構えるMOTO PUROが制作したこの車両、往年の名車 エリートを
モチーフにした物です。
DUCATI エリートⅡ (MOTO PURO 制作)
このバイクは”宝石の様な美しさ”だと紹介されていましたが、私には違和感がありました。
確かに往年のエリートに近い塗装とメッキ部品に彩られてはいます。
しかし、決定的な部分が違います。
本家エリートは空冷200ccの小型バイク、このエリートⅡは水冷、しかもあの1199(!)
パニガーレSがベースとなっている大型バイクだと言う事です。
今時、200ccのバイクなんてDUCATIは見向きもしないでしょうが、当時のイタリア・バイク界では
エリート200は正にパニガーレSの位置にあるバイクでした。
だからMOTO PUROのアプローチ方法は決して間違ってはいません。
ですが、空冷小排気量車の持つ独特の軽快感は表現出来ていません。
DUCATI エリート200 (1959~1965年)
(単気筒なのに二本出しのマフラーがオシャレです。)
本家の持つオーラはレプリカのメッキを簡単に剥がします。
エリートⅡを制作された方を決して貶める気はありません。
しかし、1199の大馬力をスポーク・ホイールで吸収出来るか、どうか、シロウトでも判ります。
そのスポークもごく普通の入り方にしか見えません。
もし、このスポーク・ホイールで1199の大馬力を吸収出来るとしたら大した技術です。
またもう一つ、私がこれはエリートⅡを名乗ってはいけないと思ったのはガソリン・タンクの形状に
あります。
このガソリン・タンクは直線で飛ばす時、ライダーが前傾姿勢を取った時、両二の腕をタンク側面に
仕舞い、伏せた顔の顎をタンク上面の凹みに収めると言う速度向上に最大限の努力を払う設計が
為されていました。
(このタンクはその形状からソラマメ・タンク、ピーナッツ・タンクと呼ばれています。)
当時のバイクは非力だったからこの様な工夫が必要でしたが、1199の大パワーを持ってすれば
その様な工夫は最早不要だとMOTO PUROが判断したのも無理からぬ物があります。
しかし、この部分こそエリートⅡがエリートの名を名乗れるか、どうか、一番大事な部分です。
空冷でない事も致命的な欠点ですが、本来のエリートの位置づけを考えると一概に否定出来ない物が
有ります。
兎にも角にもエリートⅡは美しい事は確かです。