「クラシックで行こう!」5.アリエルに見る後部サスペンションの発達でバイクの
リア・サスペンションが
1944年にはスイング・アームとツインショックを組み合わせた
コンベショナル・タイプにまで発達した事を
述べました。
ただ、
オン・ロードバイクの場合は
コンベショナル・タイプでもあまり不都合は生じ無かったのですが、
オフ・ロードバイクの場合は
道無き道を走るため、
スイング・アームのトラベル量と
作動時の安定性、
プログレッシブ特性に問題を生じました。
、
スイング・アームのトラベル量とはスイング・アームがどれだけ動けるか、その
動きしろの事です。
コンベショナル・タイプでは
ショック・ユニットの動きしろ=スイングアームのトラベル量です。
作動時の安定性はサスペンションが作動した時、その反力で車体が振られるのを
いかに押さえられるか、です。
ヤマハDT-1 (1968年)
初期のオフ・ロードバイクはオン・ロードと同じコンベショナル・タイプのサスペンションを
装備していました。
ヤマハDT-1はアメリカ市場で爆発的成功を収め、
ヒットモデルとなりました。
そして、それはそれまでそこそこの量しか無かった
オフ・ロードの市場の扉が開かれた事を意味しました。
また、オフ・ロード車による競技も盛んに行われ、各社それぞれがそのバイクの性能にしのぎを削る場面が
見られました。
1974年、ヤマハは再び、
オフ・ロード界に革命を起こす新型車、YZ250を送りみました。
YZ250 (1974年)
YZ250サスペンション装備状態
それは
スイング・アームを三角形にし、
1本のサスペンション・ユニットをほぼ地面と平行に置く、
カンチ・レバー式モノクロス・サスペンションを搭載しており、
スイング・アームのトラベル量は増え、
サスペンションの反力が抜ける方向も前進方向になって
車体の振られが少なくなりました。
また、
車体の中央に重量物を集中させ、
安定性を増す効果もありました。
ただ、
弱点もありました。
サスペンションからの
反力がステアリング系を直撃するので場合によっては
不安定になる場面も
あったのです。
また、
プログレッシブ特性は施されておらず、その点では
後発の各社に遅れを取りました。
(
プログレッシブ特性とは、サスペンションの作動時、
最初はソフトに地面からの反力を受け止め、
サスペンションが
縮み切る直前で踏ん張って底突きさせない特性の事です。)
とは言え、
ヤマハ技術陣に改良する判断を遅らせる程にモノクロス・サスペンションは勝れていたのです。
今では
モノ・ショックと呼ばれ、各社の
オン・ロードバイクにも当たり前の様に装備されています。
HONDA VFR750R (RC30) (1987年)
プログレッシブ特性を与えられたものは
リンク式モノ・ショックと呼ばれ、
今はこちらが主流ですが
コストの問題や味付けの目的であえて
カンチ・レバー式を
採用する場合もあります。
DUCATI SS900 (1998年)
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