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「峰風」とともに

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647. ヤマトとヤマト

 先日、SPEECE BATTLESHIPヤマトを観賞に行ってきました。

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あまり期待していなかった(?)のですが、感想は上の下と言うところでした。

とは言え、有る程度、SF設定の意味が解っている人達が作った映画だと思いました。

ヤマトが太陽圏を脱出した後、行き成りガミラスに着いてしまうのには驚きましたが、
ヤマトの元となった西遊記でも映画の場合は大抵、長安からの出発の後、妖怪と戦うのは1、2回
直ぐに天竺に着いてしまうのを見ればそれ程目くじらを立てる事はないでしょう。

また、外宇宙に出てしまったヤマトを捜すのは流石のガミラスでも不可能だったのではないでしょうか?

太平洋に落ちた縫い針1本を捜す様なものです。

どうせやって来るのですからイスカンダルで待っていた方が正解です。

約2時間半の上映時間の中に収めるために宇宙戦艦ヤマトの物語は大きく変更されていました。

しかし、それでも、尚、この作品は評価に値します。

まず感心したのは技術力の一貫性です。
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アニメのヤマトでは沖田艦の武装はショック・カノンではありませんでしたが、
実写版ではショック・カノンで武装しており、ガミラス艦に通用した時期もあったとされていた事です。
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実写版ヤマトではイスカンダルからもたらされた波動エンジンの大出力ヤマトのショック・カノン
再び、ガミラス艦を打ち砕く事が出来る様になります。

それとガミラス人の持つ、異星人らしい生態や技術内容の違いです。
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ヤマトはガミラスの戦闘機を捕獲しますが、その乗員は戦闘機の中ではなく、
先端外部に張り付いていたのです。

そして、ガミラス人は個々で思考し、行動する者ではなく、全体で思考し、
個々がそれに従って行動する存在
だと言う事も明かされます。
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この辺り、思わず唸ってしまいました

それと人間像に拘ったと言うだけあって、個々の人物の表現も自然で納得の行くものでした。
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特に沖田艦長は老獪な百戦練磨の戦士らしい見事な指揮を見せてくれました。
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ヤマトに敵ミサイルを引き付けて置き、命中直前で船体を回転させてかわして見せたり、
イスカンダル上陸作戦では大気圏内までヤマトの艦首を下にして逆落としで上陸部隊を援護、これまた、地上にぶつかる直前でワープ!して脱出すると言う今までに無い離れ業を見せてくれました。

宇宙から大気圏内にワープするのは自殺行為ですが、
大気圏内から宇宙へワープするのは原理的には不可能ではありません。)

それとネタバレになってしまうので記述は避けますが、山崎 務演じる沖田はアニメの沖田を大きくしのぐ
大戦略家でした。

橋爪 功藤堂 平九郎肝の据わった長官でした。
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ただ、残念だったのはこの実写版ヤマトも良くも悪くも日本映画だった事です。

後半、ヤマトは敵の罠にはまり、波動砲口を塞がれ、波動砲が使えなくなってしまいます
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このため、最後のデスラーとの決戦には自己犠牲を覚悟で臨まざるを得ませんでした。
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しかし、待って下さい!波動砲は従来の光線兵器の拡大版ではありません

それが一番良く表現されているのは皮肉にもアニメ版ヤマトの第5話 浮遊大陸脱出!! 危機を呼ぶ波動砲!!でした。

本来、波動砲ワープの原理を用いて命中点の空間をメチャクチャに捻じ曲げ、相手を原子レベルで
破壊する兵器
でした。
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タキオン粒子流が延びてゆくし従い、稲妻が走り、命中した浮遊大陸も稲妻に包まれます
これはタキオン粒子流によって、メチャクチャにネジ曲げられ、細分化された空間同士が摩擦して
副次的に発生した物でこの稲妻浮遊大陸が破壊された訳ではありません

あくまで浮遊大陸はタキオン粒子流によってネジ曲げられ、細分化された空間により、大陸を構成する
原子同士励起され、切り離された事によって破壊されたのです。

また、そうでなくてはオーストリア大陸ほどの大きさを持つ浮遊大陸を吹っ飛ばす事など出来ません。

原始的な銃火器なら砲口を塞がれれば、自爆してしまうのは当然ですが、波動砲の従来の火器とは違う特性に目を向ければ違う結末を見出す事も可能だったのではないか、と考えます。
E.E.スミス著、レンズマンシリーズ、第1巻、銀河パトロールの主人公の艦、ブリタニア号の主砲
Q砲を参考にしても良かったか、と思います。)

ここがこの作品で一番残念だった所です。

しかし、エピローグで遊星爆弾の作ったクレーターだらけの大地が、樹木は無くとも
一面の緑に覆われていた場面
は一言の説明もありませんでしたが、
見事にヤマトの任務が果たされた事を物語っていました
by SS992 | 2011-01-16 21:00 | アニメ ・ 映画