「峰風」とともに

minekaze.exblog.jp
ブログトップ

685.ツイン・エンジンの可能性(8)和製トライアンフ、YAMAHA XS1・650

 日本国内四大メーカーが生き残りを賭けて北米市場に進出して行った時、YAMAHAは何をしていたの
でしょうか?

 YAMAHAは創業時からの2stエンジンの老舗でしたから、世間は当然、新型2stモデル北米市場に
投入するもの
と思い込んでいました。

 しかし、1970年、満を時してYAMAHAが発表したのはトライアンフのデッド・コピーかと思える様な、
650ccバーチカル・ツインの、何の変哲もないつまらないバイクに見えました。

 YAMAHA XS1・650 (1970年式 OHC 2気筒 653.5cc )
b0076232_16281388.jpg

デザイン凡庸ですが、そこから立ち上ってくる走りの雰囲気は唯ならねものがありました。)

しかも2stのYAMAHA本格的に送り出す初めての4st大排気量車でした。

当然、安全策を取ったと言う見方も出来ます。

しかし、技術の世界は物事が一足飛びに発展する事は有り得ません

地道な努力を積み重ねて新しい物を生み出すのです。

近年のベンチャー企業の中には一朝一夕に育った会社がありますが、
それとて母体となった会社なり、個人の長年の研究が必ずあります。

だから 大排気量4st車を開発するにあたってYAMAHAがトライアンフを模したかの様なバイク
作った事を賞賛しこそすれ、非難する気にはなれません。

つまり、YAMAHAは原点に立ち返って自分達の立ち位置を見定めな直したのです。

 YAMAHA XS-1・650トライアンフ T120 ボンネビル比較してみると面白い事が判ります

 性能比較表
b0076232_5441069.jpg

エンジンの形式は古いT120はOHV、新しいXS1はOHCである以外、同じです。

排気量、圧縮比もほぼ同等、しかし、出力XS1の方が7ps上回っています

これはNo。683のHONDA CB450の時に述べた様にXS1の方がショート・ストロークであるため、
エンジンを高回転まで廻せるので出力が上回ったのです

また、これは次に評価する使用感に関係する事なのですが、車体重量/エンジン出力の比を見てみます。

T120車重164kgで最高出力は46ph、重量・出力比は3,57でした。 対する
XS-1車重185kgで最高出力は53hp、重量・出力比は3.49でした。

僅かですがT120の方が上回っています

これがT120の弾けるようなパンチ力の元となっていました。

反対により少ない重量・出力比、3.49を持つXS1はスムーズな運転を可能としました。

あと、使用感、と言うか、数字に出ない部分でも両者には大きな違いが有りました。

より新しいバイクであるXS1エンジンのピック・アップが良く、スムーズで心地よかったそうです。

対するT120トルクのリズム感が勝れ、弾ける様なパンチ力を体感出来ました。

しかし、T120の基本設計は1940年代ストロークの長いギア・シフトは間を置いたギア・チェンジが必要で
慣れないと使いこなすのが難しかった様です。

また、クラッチの切れも悪く、ブレーキもプアでした。

この点新しいXS15速の減速機を装備し、小気味良いシフトが可能でしたし、クラッチも良く作動しました。

ブレーキの能力も充分でしたが、XS1-E(1971年式)では前輪にディスク・ブレーキを装備して安全性を
高めました。
(このXS1-Eにはセル・モーターも付き、ユーザーに喜ばれました。)

 YAMAHA XS1-E (1968年式)
b0076232_5581728.jpg

(この車両はあちこちにオーナーの手が入っており、原型から少し離れた存在になっています。)

しかし、HONDA750ccのCB750K0を発表していたので排気量の少ないXS1
あまり売れませんでした。

1972年、YAMAHAはXS1を750ccにボア・アップしたTX750(OHC 並列2気筒)を出しましたが、
今度はkawasakiのZ1の陰に隠れてしまい、とうとう大排気量の並列2気筒の開発を中断して
しまいました。

 YAMAHA TX750 (1972年式 空冷 4St 2バルフ ゙並列2気筒 743cc 63hp/6500rpm 5速 210kg)
b0076232_6121344.jpg

この後、YAMAHAはGX750(1976年式 DOHC 並列3気筒 シャフト・ドライブ)を開発し、やはり、多気筒化の道を歩むのでした。

 YAMAHA XSー750 (1976年式 DOHC 並列3気筒 3-2・マフラー シャフト・ドライブ)
b0076232_815458.jpg

XS-750は GS750の輸出仕様。)
                                                     ( この項続く )

(クラシック・バイク・ブログ 「クラシックで行こう!」 はこちらから )
[PR]
by SS992 | 2011-07-03 21:00 | 憧れだった美女達