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692.ツイン・エンジンの可能性 (11) パラ・ツインの顔を持ったVツイン

 YAMAHAと言う会社は面白い事にある日突然、思いついた様に新コンセプトの車両を出して来ます。

 YAMAHA SDR ( 1986年式 2st単気筒 )
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これはYAMAHA得意のデルタ・ボックス・フレームメッキ鋼管パイプの溶接で表現したライト・ウエイト
・スポーツ
でした。

その減量化は徹底していて、ソロ・シートなのはまだ良いとしてスポーツ・バイクなのにタコ・メーターすら
省略
されていました。

非常にユニークかつ美しいバイクでしたが、当時はレーサー・レプリカの全盛期、あまり売れませんでした。

同じ様なバイクとしてTDMー850と言うオフ・ローダー様のツアラーが有りました。

 YAMAHA TDM 850 ( 1991年式 )
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アルミ製デルタボックス・ フレーム
エンジン 850cc
水冷4ストローク並列2気筒DOHC5バルブ
最高出力 72ps

こちらは有る程度の成果を収め、最終的にはⅢ型まで造られました。( 900ccまで排気量増大 )

そして、YAMAHAは何んと、このTDM-850エンジンを使用し、DUCATI 900SSの市場に食い込む事を
企てたのです。

 DUCATI 900SS ( 1989年~1997年 )
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YAMAHA TRX-850 ( 1995年~1999年 )
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DUCATI 900SS90°Lツインの不等間隔爆発のトラクションに富んだエンジンでしたが、本来の
TDM-850のエンジンはパラレル・ツイン、360°クランクの等間隔爆発でした。

しかし、DUCATI様のトラクション感覚を重視したYAMAHAは振動が出るのを覚悟360°クランク
270°クランクに変更して不等間隔爆発を実現しました。

必然的に発生する振動は新たにバランサーを装備して対処しました。

発売当初はDUCATIより安価でほぼ同性能を実現出来たので人気を博しましたが、やがてHONDAの
VTR1000Fが発売になると性能的に劣るため、姿を消しました。

 HONDA VTR-1000F ( 1997年~2003年 )
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しかし、パラレル・ツインの形態をしたエンジンなのでエンジン長は短く、短いホイール・ベースの割りには
長いスイングアーム
を持っていました。

 YAMAHA TRX-850 フレーム
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ピポット・レス・スイングアームでは無いのでピポット・レス化すれば更に長いスイング・アームを装備出来たと考えられます。

当時はトラクションの重要性は認識されていたものの、アンチ・スクワット性の重要度はまだ、
あまり認識されていなかったのです。

アンチ・スクワット性に係わるスイングアームの取り付け位置mm単位で変ります。

もし、TRX-850がこの点に留意した設計をしていたら、後発のHONDA VTR1000Fはおろか、
本家DUCATI 900SSを凌ぐ総合性能を手にしていたかもしれません。

パラレル・ツインの顔を持ったVツイン・エンジンを装備したTRX850でしたが、やはり、
バランサーと言う出力を発生しない枷を持たざるを得なかったのは残念です。

                                                        ( この項続く

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by SS992 | 2011-07-20 21:00 | 憧れだった美女達