「峰風」とともに

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658.重さのないマシン?エア・クールド999

 現在、ドカティ最上級モデルはスーパー・バイク・レプリカの1198ですが
それ以前は999(2003年~2006年)でした。

当然、1198はもちろん、999も水冷4バルブのエンジンを積んでいます。

 999 (999cc)
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しかし、ドカティにはモンスターをはじめとする空冷2バルブのエンジンを積むグループもあります。

 ハイパーモータード (1100cc)
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 999の高剛性のフレームに更に排気量が大きく、軽量の空冷2バルブのエンジンを積んでみたら
どうなるか、それを実践したのが、999のフレームにハイパー・モタードの1100ccエンジンを積んだ
エア・クールド999です。

 エア・クールド999
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このマシンはただ999の車体にハイパー・モタードの1100ccエンジンを積んだだけではありません。

外形的に特徴的なのはスイング・アームが片持ち式になっている事と排気管が2-1の別体
なっていることです。

この変更はこのマシンの印象を999でもハイパー・モタードでもない全く別の物にする事に成功しています。

ですが、特にスイング・アームの片持ち化作業を更に難しいものとしました。

リア・サスペンションの構成を変更するのはおろか、リア・ショック自体の構造をも変更せざるを得なかったのです。

フレーム加工も必要になりました。
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ここまで手を入れたら性能も向上しなければ意味がありません。
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ドカティ・パフォーマンス製のカムを入れ、ミッションは999の物を使っています。

見えない所ですが、燃調マイクロテック製のフルコンでセッティングしてあります。

ピストンハイコンプピスタル・レーシング製の物を入れています。

雑誌のサーキットでの試乗で特徴的だったのは取り回しの良さと加速性の良さだった様です。

空冷エンジンは水冷エンジンに比べて圧倒的に軽く、加速、減速やコーナリング時に重さを感じない
だそうです。

車体は空冷モデルより剛性の高い999ですから、レーサー的な乗り方をしてもビクともしません

まるでエンジンを積んでいないかの様な乗り味だったと言います。
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水冷顔負けのポテンシャル安心して開けられる空冷エンジンの特性を持ち、がっしりした車体は、
コーナリング・アベレージを高めてもしっかりしたフィーリングを保ち続けます。

空冷エンジンの大らかさと軽さ、水冷シャーシの剛性感が組み合わさった感じだったそうです。

999より1100ccと排気量が約100ccも増えているのに重量は逆に軽くなっているのですから、
当然、と言えば当然でしょう。

ドカティ・フリークにはたまらないスティエーションです。

しかし、ここまでやるには相当な覚悟一番必要な事なのかもしれません。


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by SS992 | 2011-02-25 21:00 | 憧れだった美女達

657.レーサー・レプリカ? レプリカ・レーサー? (2) カワサキ X-09

 カワサキが開発したレーサー、X-09はカウルを纏った状態では平凡なマシンに見えます。

 kawasaki X-09 (1993年式 250cc 2st V型 2気筒)
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しかし、カウルを剥ぎ取ってみるとその特異な正体が現れます。
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特徴的なのは排気管の取り回しで特に左側面の排気管は大きくうねっています。

これはX-09V型2気筒のエンジン・レイアウトを持ちながら、
通常のV型2気筒ではなく、Vバンクが下に向かって開いていると言う前代見聞の構造を持っている為です。
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そしてツイン・スパー・フレームの内側にはほとんど何も無いエア・ボックスになっています。

何故、この様な特異な構造を持っているのでしょうか?

これはエア・ファンネルキャブレターリード・バルブクランク・ケースと言う吸気経路
極力、直線的に配置するのが目的でした。
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更にエア・ファンネルの吸気口の周りの空気を減速し、安定して供給する大容量のエア・ボックス
設置する事が出来ました。
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ツイン・スパー・フレームはかなり高剛性な物が使われていた様です。
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水冷エンジン用ラジエターV字型に窪んでいます。
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ラジエターを極力、前方に配置した場合、タイヤと干渉する寸前までしか前に配置出来ないのですが、
V字型にする事でタイヤとの干渉を避けてより前方に配置する事が出来ました。

これもツイン・スパー・フレーム内が空だから出来た事です。

このエア・ボックスにはフレームを通して新気が導入されます。

そして、カウルにも新気導入用エア・ダクトが口を開けています。
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カウル下方には乾式クラッチ冷却用空気導入ダクトがあります。

これはレーサーでもあまり聞いた事の無い装備ですが、スタート時長い半クラッチ
使い続けなければならないレーサーには有効な装備と言えるでしょう。

これだけ新装備や新機構を盛り込んだX-09ですが、残念ながらレーサー・レプリカの
発売はおろか、レーサーとしても1993年を最後に開発は打ち切られました

時はすでにレーサー・レプリカの時代を過ぎ、ネイキッド・モデルの時代に移って行ったのです。

そして、皮肉にもネイキッド・モデルの先鞭を付けたのはカワサキでした。

 ゼファー 400 (1989年式)
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親会社の川崎重工内部では業績不振の二輪部門からの撤退も囁かれていましたが、ゼファーのヒット
それを打ち破る程のものでした。

その後、カワサキは4stのメーカーとして躍進していったのです。

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by SS992 | 2011-02-21 21:00 | レース

656.レーサー・レプリカ? レプリカ・レーサー? (1) カワサキ KRー1とX-09

 1980年代中盤から1990年に掛けてバイク界にはレーサー・レプリカ・ブームが吹き荒れました。

日本の四大メーカーは競って世界GPを戦う自社のレーサーのレプリカを販売しました。

 HONDA NSR250R SP (1993年式)
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 YAMAHA TZR250 (1989年式 後方排気型)
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 SUZUKI RGV250Γ SP2 (1990年式)
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 kawasaki KR-1 (1988年式)
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但し、四大メーカーの内、カワサキだけはちょっと事情が違っていました

当時、カワサキは世界GPにマシンを送っておらず、過去のレーサーのレプリカと言う、
なんとも様にならない製品を提供せざるを得ない状況だったのです。

当然、販売も振るいませんでした。

カワサキも企業である以上、売れない製品をそのままにして置く訳にはいきません。

遅ればせながら、レーサー・レプリカを売るために?、レーサーを開発し始めました。

 kawasaki X-09 (1993年式)
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ここにレプリカ・レーサーと呼べる様な位置付けのマシンが誕生しました。

当然ながらこのレーサーには最新の技術と新しい試みが盛り込まれていました。
                                          
                                                  (この項続く

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by SS992 | 2011-02-17 21:00 | メカ談義

655.モノコック・フレームの変遷 (4)

 ドカティがWGPに参戦していた第1次黄金期のWGPレーサーはシーリー・フレームを採用しており、
まだモノコック・フレームを採用しようとする機運はありませんでした。

 DUCATI 500  (1971年式 空冷 4st 2バルブ・ノンデスモ)
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ただし、その採用されたシーリー・フレームステアリング・ステムとスイングアーム・ピポット、後部サスペンション接続部の
3箇所
を三角形で結ぶ形態をしており、モノコック構造ではないものの、効果はそれと同等か、
それに近い剛性
を持っていたと推測されます。
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時は移り、一度はWGPから離れていたドカティも 4stマシンで戦われるモト・GPには参戦する事になりました。

 デスモセディッチ (2003年式 水冷 4st L型4気筒 990cc 16バルブ)
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しかし、2001年から初まったモト・GPに出場させたデスモセディッチ車体剛性の大部分をエンジン
受け持ち、もはや、パイプ・フレームはハンドル周りの最小限のものでセミ・モノコック構造
言えるものになっていました。
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2009年からはこの最小限のパイプ・フレームすら取り払われ、代わりにカーボン・ファイバー製の
エアクリーナー・ボックス
ステアリング部分を支持する様になり、完全にモノコック構造となりました。
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 カーボン・ファイバー製エアクリーナー・ボックス ステアリング・シャフトが取り付けられているのが判ります。)
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 2010年、ドカティはモトGPであまり結果を残せませんでしたが、それはフロント・フォークの作動感
エンジン回転の性質の与え方に問題があったため、と分析されており、
少なくともフレームをモノ・コックにしたからだと言う見方はされていません

このため、2011年のシーズンモノコック・フレームのレーサーが走る事になりました。

やっと、モノコック・フレームも評価される時代になったのです。

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by SS992 | 2011-02-13 21:00 | メカ談義

654.モノコック・フレームの変遷 (3)

 今回はドカティのモノコック・ボディについて考察する予定でしたが、ノートン・レーサーのモノコック・
フレーム
について新情報pantahさんより寄せられましたのでそちらを先に考察します。

 私は雑誌の記事からJPN(ジョン・プレーヤー・ノートン)カウルがフレームとなるモノコックだと
信じていました。

 JPN (1972年)
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カウルの前端が強度維持を目的とするかの様に閉じられていたからです。

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しかし、pantahさんの御指摘どおり、グーグル検索してみると新事実が判りました。

 JPN 内部構造
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これを見ると極太のツインスパーフレームとガソリンタンクが一体となったモノコック・フレーム
使用されている様です。
カウルは前後とも単なる外皮の様です。
ガソリン・タンクも1972年のJPNが使用したパニア・タンクの思想を受け継いだ低重心の物です。)

前回紹介したカワサキのガソリンタンクを主体としたモノコック・フレームとツインスパー・フレームの
中間に位置する物
と言えるでしょう。

 しかし、もともと空冷のコマンドー・エンジンをここまで覆ってしまっては冷却に苦労したのも頷けます。

と、すると、カウルの前端が閉じられていたのは何の為だったのでしょうか?

冷却に悩んでいたのですから大きく開口させるべきだったと思うのですが、がまた一つ増えました。

参考(「峰風」とともに No.554555
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by SS992 | 2011-02-10 21:00 | メカ談義

653.モノコック・フレームの変遷 (2)

 1980年にkawasakiWGPに新型のマシン、KR500を投入してきました。

 KR500 (1980年式)
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特徴ガソリン・タンクをメイン・フレーム化したモノコック構造を持つ事でした。
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しかし、このモノコック構造は剛性が高すぎ、当時のタイヤの性能とバランスしませんでした。
(当時の別のコンベショナルなフレーム、エグリ・カワサキの約10倍の剛性がありました。)

こうした車体の構成部品のどれかを主体としてそれに他の部分が付く構造を私は
第二期モノコック構造と読んでいます。
(カワサキの場合はガソリンタンク、次に採り上げるドカティはエンジンそのものです。)

剛性が高すぎると考えた開発陣は板厚が一番薄いアルミでバックボーン型の’82年型を作りました。

 KR500 (1982年式)
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これなども確かにバックボーン型ですがその実態はモノコック・ボディだと私は思います。

この変更はドラスティック過ぎてライダーが着いていけず、結局は失敗に終わりましたが、
私は方向性は決して間違ってはいなかったと思います。

現に次回取り上げるドカティのデスモセディッチでは少なくとも失敗では無いと考えられるからです。

                                                    (この項続く

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by SS992 | 2011-02-09 21:00 | メカ談義

652. モノコック・フレームの変遷 (1)

 4輪界では今はもう市販車にすら、使われているモノコック・フレームですが、残念ながらバイクには
市販車にはあまり採用されていません

幾つかのレーサーとカワサキのZZR1400GTR1400に採用されただけです。
 
 第1期モノ・コック構造  これはカウルそのものがフレームとなり、強度部品となるもので一番単純な
                考え方
で造られた物です。
                  1973年のJPNノートン1979年のHONDA NR500が相当します。

 JPN(ジョン・プレーヤー・ノートン)モノコック (1973年)
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強度を維持するため、前面まで殆ど被っています。 (材質はステンレス・シートでした。)
諸般の事情で空冷エンジンを採用せざるを得なかったJPNにとってこれは熱との戦いを意味していました。

 HONDA NR500 (1979年)
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通常のバイクならエンジンを搭載したままで簡単に行える整備や調整すら、一々エンジンを降ろさねばならなかったのです

レーサーとは言え、バイクにモノコック・フレーム本格的に採用されるまでにはもう少し時間
必要でした。
                                                 (この項続く

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by SS992 | 2011-02-05 21:00 | メカ談義

651.作りたかったから作っちゃいました。 HONDA RC211V

 現在、世界最高峰のオートバイ・レースは旧世界GPの500ccクラスに相当する、
2007年からのMotoGPで、上限排気量は800ccですが、

 RC212V (2010年式 V型4気筒 800cc)
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MotoGPがはじまった2001~2006年までは990ccが上限で
5気筒のマシンが許されていました。

各社は無難に990ccの直4のマシンを開発してきましたが、HONDAとドカティは違っていました。

ドカティは、また別の機会に語るので今はHONDAのマシン、RC211Vについて語ってみたいと思います。

 RC211V (2005年式 V型5気筒 990cc)
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HONDAに限らず、どのメーカーもバイクの型番には意味を持たせてあります。

RC は レーサー

211 は 21世紀に入って一番目の型

V は V型エンジンを使用し、必ず勝つ事を願ってVICTORY(勝利)の頭文字をつけていました。

そしてもう一つの意味は5気筒である事の表記でした。
(前3気筒、後2気筒、Vバンク角75.5°
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確かにレギュレーション上も、5気筒は許されていました

しかし、だからと言って本当に必要だったのか、非常に疑問です。
性能も強烈最高出力240Ps以上、車重145kg、最高速度330km/h以上でした。)

過去のレーサーRC149(125cc 並列5気筒)の場合とは違うのです。
(当時は高回転による高出力の発揮が大命題でした。)

 RC149 (1966年 空冷並列5気筒 125cc)
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これはHONDAがHONDAである事の証だった様に思われます。

「作りたいから作る!他と同じではいけない!」と本田宗一郎の魂が叫び続けていたのです

2002年、RC211Vを試乗したかつての二輪界のプリンス、宮城 光氏
もう1回、レースをさせてくれへんか!」と叫んだと伝えられています。

高性能のレーサーはどうしても走りの性能のために犠牲にしている部分があります。

しかし、RC211Vは犠牲にしている性能がない! 

速いのに乗りやすい、乗り心地さえ良い、全部良い と彼は言ったそうです。

しかし、残念ながら排気量制限が800ccに成るとRC212VはV4に戻ってしまいました

それから、HONDAの製品に面白いものは姿を消して行きました。 ガンバレ!HONDA!

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by SS992 | 2011-02-01 21:00 | レース