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「峰風」とともに

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736.竜の卵(2) ハーキュレス W2000

 世界初の市販ロータリー・エンジン2輪車は西独のハーキュレスW2000です。

 ハーキュレス W2000 (1973年式)
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【仕様】 強制空冷シングル・ローター 294cc 

     最高出力 27ps/8500rpm 

     最大トルク 3.5kg/4500rpm

     最高時速 140km/h

     車重 160kg

当時でも決して突出した性能ではありませんでしたが、そのエンジン・フォルムは新しく、ワクワクするものを
感じさせてくれました。

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エンジンはフィヒテル・ウント・ザックス製 KM914 汎用REをアレンジして搭載していました。

専用のエンジンでなく汎用のものでこの性能が出せたのですからやはりRE可能性に満ちていました。

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ジェット機の空気取り入れ口を思わせる強制冷却空気取り入れ口を持つW2000 (カッコイイ!!)
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当時、高校生だった私はこのエンジン・フォルムに痺れまくったものでした。
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# by SS992 | 2012-01-10 21:00 | 憧れだった美女達

735. 竜の卵 (1) ロータリー・エンジンの誕生

 マツダ(旧東洋工業)の看板として有名なロータリー・エンジンは着想は古く、
1588年にイタリアのラメリーによるロータリーピストン式揚水ポンプが記録に残っています。

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その後、蒸気機関の一種として研究され、蒸気機関の父ジェームス・ワットも開発を試みましたが
失敗、彼が発明したレシプロ式蒸気機関には気密性、耐久性の点で遠く及びませんでした。

その後1938年にフランスのサンソー・ド・ラブーによってロータリー機関の理論飛躍的に
進歩
しましたが、やはり気密性や冷却性に問題があり実用化には到りませんでした。
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1924年、ドイツのフェリックス・ヴァンケル技師(当時20歳)はレシプロ・エンジン往復運動を
回転運動に変換
しているのは非効率であり、エンジンは回転運動のみで完結させるべきだと考えました。
735. 竜の卵 (1) ロータリー・エンジンの誕生_b0076232_11262525.jpg

彼はピストンやバルブの往復運動は高速運転の妨げであり、コンロッドやクランクといった変換機構は
余分なスペース
を生じさせていると考えたのです。
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ヴァンケル・ロータリーが如何にシンプル・コンパクトであるか判ります。

また作動工程も4stより2stに近く、エンジン1回転につき1回の爆発を実現しています。
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かつエンジン作動の各工程を厳密に区分する事が可能なので2stの問題点である混合気の吹き抜けの
問題も吸排気口の位置の工夫によって避けることが出来ました。
         (上の理論図のままでは吹き抜けが起こります。)

しかも出力実排気量の2倍相当の高出力が得られました。

この様にロータリー・エンジンは4stと2stの良いとこ取りをしたエンジンの様に見えました。

しかし、実際は潤滑の問題でガソリンに潤滑油を混ぜる2st方式を取らざるを得ず、排気ガスが汚い
四輪にも共通する事ですが、燃費が悪い排気ガスがマフラーを赤熱させるほど高温であると
いった実用車とするには色々と解決しなければならない問題を抱えていたのでした。

                                                     (この項続く
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# by SS992 | 2012-01-06 21:00 | メカ談義

734. あけましておめでとうございます。

 今年辰年バイク界の龍といったら今年はこれでしょう。

 kawasaki ZX-14R (2012年式)
734. あけましておめでとうございます。_b0076232_1530590.jpg

排気量からいえばもっと大きいモデルもあるのですが、ZX-14Rはそのフォルムといい、
面構えといい、ドラゴンの呼び名が相応しいバイクです。
734. あけましておめでとうございます。_b0076232_15413431.jpg


またその骨格市販車初のモノコック・フレームZZR1400から受け継ぎ、まさにドラゴンらしい骨格を
持っています。
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その太く力強い排気管から吐き出されるブレスはあたりに轟きわたrます。
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# by SS992 | 2012-01-01 00:00 | アイサツ

733.DUCATI GP12はどうなる? (3) 新たなる挑戦

 2011年DUCATIのMotoGPチームにとって新しい試みの年でした。

2012年からMotoGPマシンの排気量の上限が1000ccに変るからです。


2011年の ラウンド1 カタール戦ではまだ2010年式のマイナー・チェンジでしたが、

 DUCATI デスモセディッチ GP11 (2011年式 800cc Rd1 カタール戦)
733.DUCATI GP12はどうなる? (3) 新たなる挑戦_b0076232_1756963.jpg

GP9からのカーボン・フレームに加えGP10からはスイング・アームもカーボン製になっています。


ラウンド7、オランダ戦からは1000ccのGP12用シャーシを投入しました。

 DUCATIデスモセディッチGP11 (2011年式 800cc Rd7 オランダ戦)
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GP11はまだ800ccで戦われますが、シャーシだけは1000cc用を用い、エンジンは1000ccを800ccに
縮小したものを用いて先行開発を行った様です。

MotoGPレースでは使いませんでしたが、欧州で繰り返し行っている1000ccマシンのテストでは
他社も用いているツイン・スパー・フレームもテストした様です。
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また、ラウンド14 アラゴン戦からはカーボン・フレームをやめ、アルミ製フレームに変りました。

 DUCATI デスモセディッチ GP11 (2011年式 800cc Rd14 アラゴン戦)
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横からでは判りませんがフレームは確かにアルミ製に変っています。
733.DUCATI GP12はどうなる? (3) 新たなる挑戦_b0076232_18242045.jpg

カウルを剥いだ画像が無いので1199パニガーレの予想画像を載せておきます。
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ちょうど新アルミ製フレームもこんな感じだと思われます。

そしてまるでアルミ・ツインスパー・フレームの様なバーが側面にあります。
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ただし、このバーはスイング・アーム・ピポットには繋がっていません
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私はこのアルミ製フレームは最終的にはカーボン製の物に変えられると思っています。

カーボン・フレームは製作に時間が掛るのでその欠点を補うためのアルミ・フレームなのです。

また補強バーがあるのもアルミ・フレームでは不足する剛性を補うためと考えます。

そしてこの補強バーを使いこなすノウハウを手にしておけばカーボン・フレーム使用時にも剛性を自由に
コントロールする事
が出来ます。

単純なアルミ・ツイン・スパー・フレームもテストはしている様ですが、私はあくまでカーボン・フレームが
本命
と考えます。

1199パニガーレの予想図にカーボン・フレームの物がありましたが、これが目標形態でしょう。
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早く2012年のシーズンになって1000ccのデスモセディッチGP12の姿を見たいものです。
                                                         (この項了
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# by SS992 | 2011-12-29 20:50 | レース

732.DUCATI GP12はどうなる? (2) モノコック・フレームへのこだわり

 2009年、DUCATIは革新的な構造デスモセディッチGP9に採用しました。

 DUCATI デスモセディッチGP9 (2009年式 800cc)
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カウルを纏っている状態では判りませんが、カウルを剥ぐとそれが判ります。
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カーボン製のエアクリーナー・ボックスステアリング・ヘッドを支持しているのです。
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これは明らかに一種のモノコック・フレームです。

四輪の世界、F1では当たり前になっているモノコック・フレームですが、
二輪の世界ではJPノートンHONDA NR500位でした。

 JPノートン (1973年式 750cc 初期スーパー・バイクレーサー)
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この形態ではほとんどツイン・スパー・フレームと変りません。

 HONDA NR500(1979年式 500cc)
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カウルがフレームになっているのが判ります。

JPノートンと比べればNR500は進歩していますが、デスモセディッチGP9と前二者には大きな違い
ありました。

それはエンジンフレームで包み込まれているか否かです。

デスモセディッチGP9はエンジンを車体応力部材として有効活用すると同時に外部からエンジンに
アクセス
する際の煩雑さが他社のツイン・スパー・フレームのマシンと変らないのです。

JPノートンやNR500はエンジンがフレームに包み込まれているため、この点で苦しみました

しかし、デスモセディッチGP9、GP10とも結果を出せずに終わりました。

一つにはエース・ライダーのケーシー・ストナーライディング・スタイルが他者と大きく異なっており、
マシンがほとんどストナー専用車と化してしまったのも勝てない要因の一つと言われていました。

ですが、ストナーがHONDAへ移籍した2011年も結果を出せずに終わろうとしています。

ここに到ってDUCATIもこの車体構成変える試みを行っています。

次回はDUCATI2012年をどの様なマシンで戦うのか、考察してみようと思います。

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# by SS992 | 2011-12-25 20:50 | レース