前回はタコ・メーターの話をしましたが今回は何故それが必要なのか、
それを語って見たいと思います。
あなたのバイクの速度計の隣についていて、場合によっては
速度計より目立つ配置がされている
大型のメーター、それがエンジン回転計(タコ・メーター)です。
四輪、二輪を問わず、
レーサーには速度計は無くともタコ・メーターだけは
必ず着いています。
HONDA CBX1100XX
タコ・メーター概念図
このタコ・メーターの右下を見て下さい。
メーター・エンドの
250回転だけ赤い表示が成されています。
これが世に言う
レッド・ゾーンです。
この区域は絶対に長時間、エンジンを回してはいけない所です。
それはエンジンの機構・構造に大きく関係しています。
バイクも四輪も今のところ
オットー・サイクル型のレシプロエンジンが主流です。
レシプロエンジンには
SD、OHV、OHC、DOHC、(デスモを含む)4種類ありますが
SD(サイド・バルブ)以外はどれも吸排気のバルブとピストンがぶつかり合う
ギリギリの所で作動しています。
そして、有る回転数を越えるとピストンの動きにバルブが付いていけなくなり、バルブとピストンが衝突して、エンジンは壊れます。
これが、バルブ・サージングとかバルブ・ジャンプとか言われる現象です。
これはバルブを開くのはカムで行い、閉じるのはバルブ・スプリングの力で行っていた為、
発生した故障でした。
SUZUKI 隼
BMW K1200S
Kawasaki ZX-12R
今ではバルブ・スプリングの改良やバルブの戻しをAIRでやるなどしてこの種の事故は過去のものとなりましたが、エンジンがバルブとピストンで構成されている以上、危険が
全く無くなった訳ではありません。
しかし、約
40年以上昔にこの問題をほぼ解決した男がいました。
DUCATIのファビオ・タリオーニ技師です。
彼は
バルブの閉もカムで行い、バルブとスプリングを切り離す事に成功しました。
つまり、この問題をほぼ解決してしまったのです。
私の愛車は
SS1000DSですが初めて跨った時、メーターに目をやると
そこにはレッド・ゾーン表示の無いタコ・メーターが付いていました。
DUCATI SS 1000DS
バイク屋のオヤジにその事を伝えると他のオーナー諸氏は赤い透明テープを張って
対処しているとの事。
何か釈然としない物を感じながらバイク屋を後にしました。
そして気付きました。
DUCATIには理論的では有りますが
レッド・ゾーンがないことを!
DUCATI ポールスマートLTD
もちろん、部品の材料強度の問題からレッド・ゾーンは設けられていますが、
他社ほどこの問題に神経質になる必要はないのです。
また、過回転(オーバー・レブ)の問題は加速時ではなく、減速時に起こります。
シフト・ダウン時に速度を落とし過ぎた為、過回転になってしまうのです。
MVアグスタや日本四大メーカーは多気筒化と多段ミッション(14段もあった。)の
デリケートなマシンを高度な職人と呼ぶべきプロ・ライダーに委ねましたが、DUCATIは
普通のライダーでも楽に乗れたそうです。