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498.MVアグスタの伝説 大排気量と好ハンドリングの両立

 私が小学生だったころ、自転車を買って貰った時、親から注意されたのは
前輪、後輪のブレーキの使い方でした。
決して前輪ブレーキを先にかけない事、必ず後輪ブレーキからかけ、スピードが下がってから前輪ブレーキ
かけて止まる事と、しつこく言われました。  
うるさいなあと思っていましたが、実際、乗ってみて、ブレーキングを試してみるとその訳が解りました。
もし、前輪ブレーキからかけると車体がつんのめってしまうのです。(下図)
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ひどい時には前転してしまう事もありました。
後輪からかければ前転する事無く、スピードが落ち、ちょっと遅れて前輪ブレーキをかければ
安定したブレーキング
が出来、停止も安全確実に出来る事が解りました。
後輪からブレーキングすると後輪が地面に押し付けられるのです。
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バイクは自転車から発展した乗り物です。 当然、今、述べた様な特性は基本的に同じです。
この後輪ブレーキをかけた時、後輪が地面に押し付けられる特性をアンチ・スクワット性と言います。
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当然、スイングアームやそれが付く後部フレームには大きな力が加わります。
だから、初期のバイクは後輪にサスペンションの無いリジット・タイプが主でした。
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しかし、やはり乗り心地を良くするため、後輪にもサスペンションが付く様になりました。

モトモリーニ 125GT
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モンディアル 160スポルト
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モトコメット 250
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しかし、フレーム剛性にまで配慮した設計を施していたのはMVアグスタのみでした。
MVアグスタ 150 ラパイド・スポルト
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MVのバイクは後部フレームがブーメラン型でした。
一番、力のかかるメインフレームとの接合部を太くし、スイングアームの取り付け部を次に太く、一番、力のかからないシートレール末端を細くして滑らかに繋いだ形をしていました。
他社のバイクは構成は似ていますが、この様な設計はありませんでした。
明らかにMVアグスタはこの部分に剛性を持たせる事でバイクの操縦安定性に配慮した設計を行っていたのです。
この後、MVアグスタ通常のダイモンド型やダブルクレードル型に移行していきましたが、WGPレーサーでも日本車の様にやみくもに出力を求めず、ハンドリングにも配慮していた事は
500ccクラスに378ccのバイクで出場していた事でも解ります。
また、MVアグスタのエース、ジャコモ・アゴスチーニ氏は1968~1972年、350cc、500cc両クラスで107戦85勝と黄金期を築き上げました。
ジャコモ・アゴスチーニ氏はハンドリングに勝れた3気筒を好み、No,2ライダーだったフィル・リード氏は大出力の4気筒を好んだそうです。
1976年を最後にMVアグスタはレース活動をやめ、バイク市場からも撤退しましたが、その名声は全てのレース・ファン、バイク・ファンの間で伝説と化し、1999年の復活は全世界から熱狂的な歓声と共に迎えられました。
4気筒、大排気量のみが謳われる事の多いMVアグスタですがその真価は大排気量でも自由自在なハンドリングを持つ事にあったのです。
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by SS992 | 2009-08-09 11:00 | メカ談義