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「峰風」とともに

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517, ブリティッシュ・カフェ・レーサー (1)

 前回見てきたレーサーを手本にロッカー達は自分達のバイクを改造して行きました。
しかし、カフェ・レーサーという言葉は単なる改造バイクに与えられる称号ではなく、
それなりに走りを意識した物のみに与えられるものでした。

夜々、カフェに集まり、愛車の自慢話をするだけで、決して勝負しようとしない連中の事も
カフェ・レーサーと呼ぶ事がある様ですが、この場合、言葉の対象は人であり、
バイクではありません

戦後の第1期黄金時代(1950~1960)に、一番人気のあった、トライアンフ 650cc バーチカル・ツイン
(直立シリンダー、2気筒)
をベースとしたカフェ・レーサーです。
日本国内のトライアンフの第一人者が車検のついたフレームにガレージにあった無数のトライアンフの
部品
を組み付けて作った真にドンピシャリ!のカフェ・レーサーなのです。

トライアンフ サンダーバード 110 650cc  (1955)
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トライアンフ サンダーバード 110 650cc  表
当時のトライアンフにはクリップ・オン・ハンドルの付いたバイクはありません。
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トライアンフ サンダーバード 110 650cc  裏
クランク・ケースはミッション別体式を使っています。 フレームはシングル・クレードルです。
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英車は2気筒でも単気筒と同じ様に (タイミング・ケース側)、(動力一次伝達系側)、と
いう言い方をします。

トライアンフ サンダーバード 650cc ? オリジナル?  (1955)
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多分、細部の特徴から判断するとこれがオリジナルだと思われますが、データが無いので確実ではありません。

BSA DBD34 ゴールドスターに至ってはストック状態で即、レースに出られる性能を誇っていました。
日本のレース黎明期、浅間火山レースでの活躍は高橋国光の名と共にもはや伝説となっています。
カウルこそ装備していませんがレーサー・レプリカ、否、レーサーそのものでした。

BSA DBD34 ゴールドスター (1957)
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BSA DBD34 ゴールドスター 表
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BSA DBD34 ゴールドスター 裏
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BSA DBD34 ゴールドスターもやはり、裏と表を 持つバイクでした。

ノートン 850 カフェ・レーサー (1989)
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ノートン・コマンド 850 ロードスター (1973) 
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これはノートン・マンクスのフェザーベット・フレームにノートン・コマンド850のエンジンを積んだものです。
ノートンの純正製品にはこの組み合わせは無く、真にカフェ・レーサーと言えるでしょう。
製作はダイナ・ベクター英国の旧車専門店、旧車用のアフター・パーツを扱う会社です。
その扱うパーツは多岐に渡り、新車1台が組める程なのです。
その証拠がこれ!エンジン、ギアボックス等、ケース類は中古ですが、その他は全て新品なのです。
このため、製作年度が1989年と比較的新しいのです。

一番、カフェ・レーサーらしい成り立ちを持つのはトライトンでしょう。

トライトン 650 カフェ・レーサー (1) 1970年代?
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トライトン 650 カフェ・レーサー (2) 1970年代?
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トライトン 650 カフェ・レーサー (3) 1970年代?
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英国にトライトンというメーカーはありません。他のどの国にもないのです。
実はこのトライトンと言うバイク、トライアンフからエンジンを、ノートンからフレームを取った、
一種のキメラ(合成獣)なのです。
今は4輪車はそのほとんどが液冷ですが、昔は空冷エンジンも存在し、レーサーにも軽量な空冷エンジン
使われていました。 特にノートンのエンジンは性能と信頼性が高く、この用途に良く使われていました。
ある時、空冷エンジンの大量注文があり、エンジン在庫だけでは対処し切れなくなったメーカーは
すでにバイクに積んであったエンジンを降ろして注文に間に合わせました。
しかし、工場には心臓を抜き取られた哀れなバイクが多数残されました。
しかも、そのフレームは当時最高の性能を持つ、フェザー・ベットです。 もったいない!
誰かがそうつぶやくともう、一人がトライアンフのエンジンを積もうと言い出しました。
そして出来上がったバイクは非常に高性能を出し、トライアンフ+ノートンでトライトンと呼ばれる様になりました。
これ以来、エンジンとフレームのメーカーが違う時、両方の名前を合成して新しい呼び名を付ける様になりました。
例えばノーヴィン 500 (エンジン>ヴィンセント、フレーム>ノートン)
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メグトン (エンジン>メグロ、フレーム>ノートン) 等。
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by SS992 | 2009-10-21 05:38 | 憧れだった美女達