SRの記事を書くために色々調べていたら面白い事が判りました。
日本のビッグ・シングルの草分け、
シマ498ロード・ボンバーを製作した
島 英彦 氏は
鈴鹿で行われた、
1963年の第1回日本GPでの単気筒車の活躍にインスピレーションを得たと聞きます。
この年の250ccタイトルは
HONDAに乗るジム・レッドマンとMoto・Moriniに乗るタルキオ・プロビーニの
間で争われていました。
HONDA RC164 250cc 4気筒 45.4ps/14,000rpm
Moto morini 250cc 単気筒 37ps/11,000rpm
最終戦日本GPまでもつれ込んだ勝負の結果はHONDAの勝利に終わりましたが、
この時、島氏は
単気筒バイクの小ささと軽さを生かし、
スリムで軽量な車体と組み合わせれば、
多気筒エンジン車に劣らない性能を実現出来ると考えたのです。
小さくスリムな車体は空気抵抗が少なく、加速性能、ブレーキング性能も向上を期待出来、
コーナリングにも有利、バンク角も深く取れる等、単気筒の可能性を感じ取ったのです。
「356,ロード・ボンバーの残したもの」で採り上げたシマ498ロード・ボンバーは
1978年の鈴鹿8耐で
並居るリッター・マルチに伍して
総合8位の好成績を残しています。
氏の考えの妥当性はこの時、証明されました。
また、
燃費も桁違いに良く、8時間のレースの間、3回の給油で済んだそうです。
ロード・ボンバーは島氏の理想のバイクの実現でした。
シマ 498 ロード・ボンバー
それは
パワーよりライダーの扱い易さを最優先にし、乗って楽しいバイクとする事だったのです。
その後、島氏は
YAMAHA SRX600(400)の開発に関ったと聞きます。
YAMAHA SRX 600 (Ⅰ型)
最近のリッター・マルチは操縦性も当時より桁違いに良くなり、単気筒の出番はもう無い様に思われます。
しかし、乗っている事が苦痛になる位、暑くなる様ではライダーが阻害されているのではないでしょうか。
もう一度、
ロード・ボンバーやSRXの様なスポーティ・シングルが必要だと私は思います。