そして
GSX-Rのもう一つの特徴、ダブル・クレードル・フレームは何のためだったのでしょう。
当時、すでに
各社いや
スズキ自身でさえ
ツイン・スパーフレームを採用しており、その
メリットは充分、
認識していたはずなのですが、
GSX-Rはかなり
遅れてツイン・スパー・フレームを採用しています。
(
GSX-R750が採用したのは
水冷エンジンを積む様になってからの事です。)
Kawasaki ZZR250 日の字断面ツイン・スパー・フレーム
①は
角型断面鋼管によるダブル・クレードル
②は
アルミ合金製デルタ・ボックスで
ダウン・チューブを持つダブル・クレードル
③はダウン・チューブが廃止され、バック・ボーン・タイプとなるがエンジンを剛性メンバーの1部として
使う事で剛性は②の2倍以上、フレーム車体重量は②の60%に減じています。
この様な多大な
メリットを捨ててまでスズキは
ダブル・クレードルに固守したのです。
GSX-R750 (1986年 AMAスーパーバイク仕様)
この理由は
GSX-R750(1986年式)のストリップ写真を縦に見れば判ります。
フレームから
エンジンがはみ出しています。
そのかわり、
フレームはほぼ
直線に設定出来ていました。
他社のバイクの場合、
ツイン・スパー・フレームはエンジンを包み込む必要上、
大きく湾曲していました。
HONDA CBR250RR (1990年式)
小排気量の場合はこれでも良かったのですが、
大排気量車の場合、
剛性が不足する心配がありました。
だから
GSX-R750はフレームを
極力、直線にしたかったのだと思われます。
また、
油冷エンジンは
側面空冷用のフィンの関係で
幅が水冷より
広くなってしまっていた事も想像出来ます。
(
オイルの方が
水よりも
粘度が高く、流れにくいので
流路も水冷より
太くする必要がありました。)
油冷エンジンのオイル流路概念図
結局、幅の広い
油冷エンジンをバイクに積むための
ダブル・クレードル・フレームだったと言えるでしょう。
この後、
スズキは
GSX-R750が
水冷化された後でも
上部に五角形断面のパイプを用いた
ダブル・クレードル・フレームを使い続けました。
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