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「峰風」とともに

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670. アンチ・スクワット特性とは?

 前回までに鈴鹿八耐に優勝したレーサーを分析してスポーツ・バイクに求められた特性を
検証して来ましたが、その中でアンチ・スクワット特性と言う聞きなれない言葉が出てきました。

スクワットヒンズー・スクワットのスクワットと同じでしゃがみ込むと言う意味です。

すなわち、アンチ・スクワット特性とはしゃがみ込まない特性と言う事です。

バイクがしゃがみ込まない特性とはスイング・アームがリフトする事を意味します。

 Fig 1
670. アンチ・スクワット特性とは?_b0076232_1814967.jpg

何故、スクワットするとバイクにとって都合が悪いのでしょうか?

それはコーナリング時にタイヤが路面をグリップしなくなってしまうからです。

 YZFーR1 (2008年)
670. アンチ・スクワット特性とは?_b0076232_1892877.jpg

 DUCATI 1198 (2009年) 鈴鹿八耐
670. アンチ・スクワット特性とは?_b0076232_18122886.jpg

これだけバンクしている状態でリア・タイヤのグリップが失われたら・・・。

たちまち後輪からスリップして転倒してしまいます。

ではバイクがどう言う状態の時スイング・アームはスクワットしたり、リフトしたりするのでしょうか。

一般的にスイング・アーム・ピボットドライブ・ギア同一直線上にあった場合、
アクセルを開けるとスイング・アームはスクワットし、リア・タイヤは車体側に引き込まれます

 ビモータ SB2 (1977年式)
670. アンチ・スクワット特性とは?_b0076232_18355475.jpg

(このバイクはコアキシャル・スイングアームと言ってスイング・アーム・ピボットとドライブ・ギアの軸が同軸でした。

この方式は単にドライブ・ギアを交換するだけでもスイング・アームを外さなければならず失敗でしたが、
アンチ・スクワット特性の発揮と言う面から見ても失敗でした。)

再度 Fig1を見て頂きたいのですが、この図だとドライブ・ギアよりスイング・アーム・ピボットがかなり上にあります。

この状態でアクセルを開けるとチェーンが引っ張られ、スイング・アームは下に下がり、タイヤ路面に
押し付けられます


昔のGPレーサーはコーナーにスロットル全閉で進入し、タイヤグリップを失わない様に徐々にアクセルを開けて行き、出口近くでようやく全開と言う状態でした。

また車体の重量配分後輪重視後輪のグリップが抜けにくい設定だったのです。

 HONDA RC166 (1966年式)
670. アンチ・スクワット特性とは?_b0076232_1928114.jpg

しかし、当時の日本製GPレーサー直線での速度を求め、コーナーはやり過ごす設定でした。

馬力を求める事が至上の命題でコーナリング時のハンドリングは2の次だったのです。
                                                      ( この項続く

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by SS992 | 2011-04-26 21:00 | メカ談義