SUZUKI T500 について、
私には特別な思い出があるので
もう少し語らせていただきます。
1968年、
HONDA CB450が発表された事に
脅威を感じた
SUZUKIはそれまでのトップ・モデル、
T250を
大きく超える新型車,
T500を発表しました。
SUZUKI T250 ( 1967年式 空冷2St ピストン・バルブ247cc 30.5hp/8000rpm )
SUZUKI T500 (1968年式 空冷2St ピストン・バルブ2気筒 47hp/6500rpm )
大排気量の2St車に懐疑的だった、当時の欧米の技術者達はその
性能と姿に驚愕しました。
実は以前にも述べましたが、
SUZKI T500 は、私の
父の愛車でもありました。
その燦然と輝く
オレンジ色の巨体は私と父の
誇りでした。
アクセル一捻りであっと言う間に
別次元の世界へ連れて行ってくれる
魔法の乗り物でもありました。
当時、
4stでは500~650ccは決して珍しいバイクではありませんでしたが、
2Stでは
500ccは
存在しない大排気量でした。
同じ排気量なら
2stは
4stの2倍の出力が期待出来ました。
一般人が乗る市販車にあまり
高性能を与え過ぎると
危険と判断した社会の要請で
50hp以下に出力を
抑えられていましたが、
レースでは遠慮は無用でした。
( 初期型は最高出力68hp/7800rpmを記録しました。)
1970年、マン島T・Tプロダクション500ccクラスに出場、優勝したタイタン(T500)
しかし、当時のSUZUKIのマシンは
ハンドリングが悪く、常勝と言うわけには行きませんでした。
また、1969年には
HONDA CB750K0 が発表され、
国産最高性能の座からも引き摺り降ろされて
しまいました。
そして、
SUZUKIも
2Stではありましたが、
大排気量マシンを開発しました。
SUZUKI GT750 ( 1971年式 水冷2stピストンバルブ並列3気筒 排気量738cc )
( 動力性能 67ps/6500rpm 7.7kgm/5500rpm 車重214kg )
そして
1977年には
4Stの多気筒、大排気量車を発表しました。
SUZUKI GS1000 (1978年式 空冷4StDOHC 8バルブ 4気筒 497cc 90hp/8200rpm 233kg )
このバイクはヨシムラの手でチューンされ、1978年の
第1回鈴鹿八耐で
勝利を飾りました。
(
ポップ吉村はレーサーらしからぬ
過剰品質だと文句をつけたようですが・・・。)
こうして
SUZUKIもまた
4St多気筒バイクの開発に大きく
舵を切ったのです。
(
この項続く )
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