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「峰風」とともに

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704.V型4気筒エンジンの誕生 (3) FWSの使命

 FWSはHONDA社内の開発コードです。

本来の名前はRS1000RW、前回チョットだけ触れた営業部隊から要請のあったVFシリーズ拡販用の
レーサー
です。

しかし、当時の関係者は(ライダーを含め)このレーサーをFWSと呼んでいました。

 HONDA RS1000RW (1982年式 水冷DOHCV4 1024.48cc)
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このレーサーは通常のレーサーと大きく異なる事がありました。

それは設計要求がほとんど白紙委任状だった事です。

HONDAの会社側から出された要求は2つだけ、90°V4エンジンを積む事、そして絶対勝利する事、
それも圧倒的な勝利を獲得する事でした。

開発期間1年もなく、このため、エンジン以外は比較的オーソドックスに纏められました。
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一番苦労したのは排気管の取り回しで、後バンクの2気筒を集合させた排気管は管長を稼ぐために
リア・カウルの中でトグロを巻いていました。
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そのためリア・カウルにはがこもり、カウルが燃えたりしました。
対策としてリア・カウルにメッシュ部分が設けられましたが、どれほど効果があったか、疑問です。
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しかしそんな事はFWSにとって大きな問題ではありませんでした。

それは下の写真を見れば判ります。
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ガソリン・タンクの側面を見て下さい。

HONDAのウイング・マークの後にあるのはガソリンの給油口です。

普通のレーサーガソリン・タンクの上に給油口があります。

つまりFWS左側からしか給油しない設定なのです。

これはFWS1982年のデイトナ200マイルレースただ一回のために作られたものだったからです。

デイトナのコースは左回りピットも左側だったのです。

実際にレースが始まると2st500ccGPレーサー2st750ccレーサーもあまりの性能差に驚きました。

そう、あのケニー・ロバーツさえも顔色なからしめたのです。
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ただ、その強烈な性能に当時のタイヤがついてゆけず、トレッドが剥がれるチャンキングと言う現象に見舞われピットインの回数が増えて結局、順位は2位でした。

しかし、その重々しい排気音とは裏腹な圧倒的な速さに観衆はV4エンジン強い印象を抱きました。

FWSVFシリーズ拡販用の宣伝ツールとしての役割をじゅうにぶんに果たしたのです。

この後、V4レーサーRVFとして最強の名を欲しいままにしますが、それはまた別の機会に・・・。

                                                      (この項了
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by SS992 | 2011-09-06 21:00 | 憧れだった美女達