202.の続きに話を戻します。当然初期のオートバイは性能もたかが知れていて
実際、シロートがレースの真似事をやっても大した事故は起こらなかった、
ないしは世間が問題視しなかったと考えられます。
これは初期のハーレーですが
排気量は1000ccあるのに出力は
8HPです。
ハーレー・ダビットソン 9E (1913)
45度Vツインは今と変わりませんが、
吸気はOHVと当事としては
最新型なのに
排気はサイドバルブと言う変わったエンジンを着けています。当事は当たり前だったんでしょうか?
この辺りの事情は海の向こうの英国でも同じでした。
若者はバイクに狂い、レースに明け暮れる・・・。そんなのどかな時代だったのです。
ノートンの初期のバイクたち
但し、バイクの性能は飛躍的に上がって来ていたと考えられます。
上の走行写真は現代のものですがバイクは
ノートン モデル 18 490cc (1929)です。
出力は不明ですが
排気量が半分になっている所を見ると最低でも2倍、実際は3~4倍の出力が出る様になったと考えられます。(
30HP以上?)
1938年、モーターサイクル界にその名を残す
有名なカフェが
ロンドン市のノース・サーキュアーロード沿いにオープンしました。
「
エース・カフェ」
カフェ・レーサーの語源となった、当時珍しかった
24時間営業のカフェです。
若者達はここで自分達のバイクの自慢話に華を
咲かせ、
その証明としてジュークボックスで1曲かけ終るまでに相手を抑えて帰ってこれるか?
を競ったのです。
そして、この自慢話の部分が今のスペック至上主義に繋がります。
当事はバイクの改造は当たり前でその性能の証明は実際に走り、
相手に打ち勝つ事だけだったのです。
しかし、今はバイクのカタログにスペックが必ず乗っており、そのスペックの魅力に負けて
バイクを購入し、バイクに乗せられている人が何と多いことか!
また、そのスペックの証明はWGPやスーパーバイクレースで各社、
技術の高さが遜色ないのを見せ付けています。
そうなるとカタログデータは一人歩きを始め、ライダーを迷わせます。
迷ったライダーは更に高性能のバイクを求める様になり、その結果、
今、公道でフルスペックを出せるスーパースポーツなど何処にもなくなってしまいました。
次回は迷えるライダー達の歩みを実際に販売されたバイクを通して語ってみたいと思います。