英国の名車
ヴィンセントについては今まで何度と無く取り上げてきました。
現在のコンストラクターである
フリッツ・エグリや
パトリック・ゴテの活躍は前に取り上げました。
エグリ・ヴィンセント ( フリッツ・エグリ作 )
エグリ・ヴィンセント ( パトリック・ゴテ作 )

どちらもヴィンセントの名声を継ぐ物として相応しい作品群です。
しかし、オリジナル・ヴィンセントと彼等の作品には大きな違いが幾つかあります。
ヴィンセント ブラック・シャドウ ( 1949年式 空冷OHV 2バルブVツイン 1000cc )

それは
前後サスペンションの構造です。

前部は
オリジナルでは
ガードロリック・フォーク、
エグリ・ビンセントでは
テレスコピックフォークが使用されていました。
ガードロリック・フォークはより古い
ガーター・フォークに似ていますが、実は当時の
テレスコピック・フォークの剛性不足を補うためにヴィンセントが開発したものでした。
もちろん今では
倒立フォークもあり、テレスコピック・フォークで不足を感じることは少ないと思いますが
今から約60年も前に
テレスコピック・フォークを超える装備をしていたとは驚きです。
また、
リア・ショックもヤマハが開発した
モノクロス・サスペンションと殆ど同じ機構を持っていました。
そしてヴィンセント ブラックシャドウ のもう一つの特徴、フレームレスかと言うほど
フレームがミニマムな点は
エグリ・ビンセントでも再現されていますが二本ショックを支持するために
シート・レールが
付加されていてオリジナルから遠ざかってしまいました。( クラシカルな雰囲気を求めたのかも? )
こうした違いを嫌うものの、更に
高性能化したヴィンセント ブラックシャドウを求めた人がいました。
スイスの
ヒューゴ・パルメラーです。
彼は
ヴィンセントのレストアに関して豊富な
知識と経験を持っていました。
そしてそれを生かしてもともと
1000ccだったブラックシャドウを
1200ccに強化する事に成功したのです。
1200cc ブラックシャドウ 
外見だけではこれが1200ccもの排気量を持つ事はわかりません。
ブラックシャドウは
1950年代から1960年代後半、
HONDA CB750K0 が登場するまで、
世界最速の市販バイクの名を欲しいままにしましたが、
1200cc版はそのブラックシャドウを
アクセル一捻りで置き去りに出来るのです。
最高出力 オリジナル
55bhp/5700rpm
1200cc
65bhp
と、
10bhpの差があります。
しかも、1200cc版は
トルクも太いのでギアも
ハイ・ギアードに設定できるのでオリジナルを置き去りにする
と言う爽快な走りが可能になったのです。

正に
仮面を被った駿馬です。
しかし、世の中には更に過激な人達がいました。
次回は更に進化したヴィンセントを紹介します。
(この項続く)
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